主要国の一つ 2013 8 25
後世の歴史家は、こう書くでしょう。
「アメリカが世界の警察官をやめたのは、オバマ政権の時だった。
それ以来、アメリカは、主要国の一つになった」
これが意味することは、
「これからは強権国家や独裁国家の時代になる」ということです。
世界の強権国家や独裁国家の指導者たちは、
枕を高くして眠れるということです。
もうアメリカの影に怯えて不眠症になるということはないのです。
あれは幻だったのです。
ベルリンの壁が崩壊して、自由主義が勝ったのは。
世界は、再び、強権国家優位の時代に向かうのです。
民主主義というものは、脆いものです。
誰かが、毎日、民主主義という花に水をくれなければ、
枯れてしまうのです。
その役割をアメリカがやめるというならば、
世界から民主主義も自由主義も枯れる方向に行くでしょう。
今では、誰も信じないでしょうが、
かつて、アメリカは、世界に民主主義を広めると主張していた時代があったのです。
今のアメリカは、「そんな面倒なことに巻き込まれるのは嫌だ。
仕事を増やさないでくれ」という気分でしょう。
別人 2013 8 10
昨年から、このサイトでは、
日本の安全保障については、
「自分の国は自分で守るという体制にすべきだ」と、
何度も書いていますが、それには理由があるのです。
多くの日本人が思い描いているアメリカは、
「かつてのアメリカ」であって、「今のアメリカ」ではありません。
要するに、姿形は同じでも、
中身は別人になってしまったと言った方がよいかもしれません。
歴代のアメリカ大統領で、
「リーダーシップが弱い」と言われたカーター大統領ですら、
人権外交を主張し、人権軽視の国があれば、
強力な指導力を発揮したものでした。
今のアメリカは、リーダーシップを嫌がる傾向があります。
わかりやすく言えば、「事なかれ主義」で、
「自分の任期中は、やっかいごとが起こらないでほしい」と祈るような気持ちでしょう。
これは、かつてアメリカにあった「孤立主義」とも違います。
別の角度から書けば、こういうことです。
もう10年近く前に、私は、こう書きました。
アメリカは、やがて白人が少数派となる。
そして、ヒスパニック系が多数派となる日が来ると。
もう、こうなると、アメリカは、別の国になってしまうでしょう。
「白人が持っている価値観」と「ヒスパニック系が持っている価値観」は、
やはり大きく違うのです。
一方、アフリカ系アメリカ人、つまり日本では「黒人」と言うでしょうが、
こうした人たちは、産業界に進出するのではなく、
政治の世界、特に地方政治への進出が目立つと聞いたことがあります。
こうした人種構成の変化が、
やはり、アメリカの政策に現れてくるのです。
日本人が思い描いているアメリカとは、
冷戦時代にソ連と対峙したアメリカでしょう。
アメリカは、変わってしまったのです。
そう言えば、大統領選挙の時に「Change」という言葉を何度も聞きましたが、
確かに、アメリカは変わってしまったのです。
姿形は同じでも、中身は別人になってしまったと言ってよいでしょう。
弱腰と言われながらも、
強力に人権外交を推進したカーター政権が、
今となっては、懐かしい。
かつてアメリカは「世界に民主主義を広める」と主張していた時代があったのです。
今のアメリカは「そんな面倒なことに巻き込まれるのは嫌だ。
仕事を増やさないでくれ」という気分でしょう。